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鉄研中央通信十七号 文化部予算折衝速報

2月10日午後三時半より、毎年恒例の文化部予算折衝が行われた。
武蔵学園の校友会、つまり各部活に援助される予算を決定するもので、今年も文化部に割り当てられた予算の中で、提出した予算要求のうちどれだけ多くを通すことができるかが焦点となる。なお、この予算折衝はしばらく行われていなかったものを、2007年度の鉄道研究部部長を務めた某氏が運動して再開させたもので、以来鉄道研究部は校友会予算そのものの厳しさからわずかずつ減額しつつも予算規模を維持している。

今回は運動部予算折衝が紛糾の末、6日月曜日の会期中に決定せず、当初文化部予算折衝が行われる予定だった8日水曜日にまでずれ込んだため、運動部よりはるかに厳しい予算状況にある文化部においても紛糾が心配されたが、蓋を開けてみれば運動部大会費の大規模返納(東日本大震災の影響による大会中止等による)、昨年巧みな外交手腕で予算規模を維持した民族文化部の24%にも及ぶ自主削減などにより、折衝において削減すべき予算は24000円足らずと過去に類を見ない優良な状況であった。

折衝開始後、鉄道研究部は例年通り自主的な発言を一切しない潜水艦戦法を展開。
まず、毎年のごとく予算要求が若干アバウトなESS、部員規模に対し予算が多めな気象部が攻撃を受ける。今年予算増が最大規模なのは太陽観測部11.0%、奇術部、ジャグリング部9.9%であったが、太陽観測部はそもそもの予算規模が小さいこと、奇術部、ジャグリング部に関しては鉄研同様に要求が専門的にすぎ、隙が見られないこと等の問題があり、積極的な攻撃を受けることはなかった。

一方気象部は予算のノート5冊を百円ショップの三冊一組105円のものに切り替えれば削減できることを指摘され、更には要求したある物品が生物科に存在し、借入できるのではないかという疑問があったため生物科に聞きに行った所、生物科でも余裕がなく物理科から借りているという返答があったため今度は物理科に聞きに行き、更に念のため化学科にまで質問に行かされるというたらい回しを受けるはめになった。

折衝中盤、今度は地学部が顕微鏡と「サイボックス」なる箱と思しき物品の件について攻撃を受けるも、巧みな説明で削減を回避。同時期、失言でリコールを受けるなど何かと評判のよくない代表委員長が突如発言し、化学部と物理部で使用する同種のビーカーがメーカーの違いから値段が違うことを指摘。これを安い方に統一するだけでなく、他の実験器具類も安い方のメーカーに切り替えることで予算を削減できるのではないかという発議を行って一同の意表を突いたが、結果代表委員長本人がカタログ相手ににらめっこ状態となってしまう。

この頃から残り時間が少ないことへの焦りと疲れから全体的に緩みが見え、特に代表委員会側は邦訳書籍に関して原書で購入し自主翻訳すれば安くなるだの、円高傾向の現状、円でなく$で購入すれば安く上がるだの、中古では予算に計上できないことを認識しつつ(冗談で)書籍などを中古で買えば安くすむだの言い出して(代表委員長が会計監査補佐を務める前部長に対し模型を中古で買えないか小声で聞いていたことを我々は忘れないだろう)グダグダ状態になりかかり、時間切れになるのではないかという危機感が現れ始める。
また、鉄道研究部は民族文化部の要求する広辞苑第六版を電子辞書で買えばはるかに安くなることに気づいたが、結局潜水艦戦法に徹して指摘することはなかった。

しかしながら、残り30分となった午後四時半頃から増額率最高の太陽観測部、奇術部、ジャグリング部の自主削減や地学部「サイボックス」の一個削減などで残り5000円以下にまで至り、最終的に代表委員長の調査が功を奏してビーカーを始めとする実験器具類の価格が削減されたことで要求総額が規定額を切り、合意に達した。

なお、鉄道研究部は他部からの質問・指摘も一切受けることなく潜水艦戦法に徹し、予算要求そのまま、1.3%の増額を達成し、ここ数年で初の快挙となった。また隣国将棋部は前年比100.0%、-16円という完璧な予算要求によって賞賛を浴びた。

今年度は予想外の全体予算増額により無事終了したが、来年以降現状の予算規模が維持されるかは依然未知数であり、運動部との格差も相まって文化部の不安はますます強まっている。次期代表委員会には文化部に対する十分な配慮を要請したい。

武蔵高等学校中学校鉄道研究部